ビタミンの力で、肌と心をポジティブに

ニキビ発生のメカニズム

 

前回、『毛穴の正体と皮脂の関係』という記事で
多くの方を悩ませる毛穴悩みの原因は、
元をたどると“皮脂”である、ということを解説させていただきました。

 

しかし、毛穴悩みだけでなく
皮脂によって更なる肌トラブルを招くこともあります。それがニキビです。

 

今回も、ドクター亀山の見解を元に解説いたします!

アクネ菌と上手に向き合おう!

ニキビを語るうえで外すことができないワード、『アクネ菌』。
改めて『アクネ菌』について理解を深めましょう。

 

ニキビができるきっかけにはアクネ菌の増殖が関わっています。
しかし、真の原因はそれだけではありません。

 

アクネ菌に対する免疫の過剰反応が起こり、
活性酸素や炎症性物質が大量発生して毛穴にダメージを与えている状態がニキビです。
つまりニキビとは、“アクネ菌と炎症性物質の戦い”なのです!

 

また、ニキビ発生のきっかけは、毛穴が詰まってアクネ菌が増えることです。
アクネ菌は嫌気性と言って、酸素がない状態を好み、酸素の少ない毛穴の中に住んでいます。
通常は悪さをしない肌の健康を保つ常在菌の1つですが、
それが何らかの原因で毛穴の出口が塞がれると、毛穴の中の酸素が減り、
中で増える皮脂を餌にアクネ菌が増殖します。

 

するとアクネ菌は「キャンプファクター」と言う毒素を産生するようになります。
その毒素に対して肌内部では免疫反応が起こり、炎症性物質によってアクネ菌を排除しようとした結果、ニキビが発生してしまうのです。

ニキビの種類

そして、ニキビにもいくつか種類があり、
白ニキビ、赤ニキビ、黄ニキビがあります。

 

①白ニキビ
毛穴の出口に皮脂が詰まって盛り上がり、炎症を起こす前の状態を指します。
この段階では、まだアクネ菌が増殖せず炎症が起きていないので、ニキビとしては軽症のものです。

 

 

②赤ニキビ
①の白ニキビの状態を放置すると、詰まった毛穴の中で皮脂を餌にアクネ菌が増殖し、
毒素である「キャンプファクター」を産生します。
それに対し体は免疫反応を起こし、必死で戦っている状態が、赤ニキビです。
赤く盛り上がり痛みを伴います。

 

 

③黄ニキビ
②の戦いを終えた、白血球の1種である好中球の死骸が、膿となって黄色くたまったものが、黄ニキビです。
周囲の皮膚のダメージが大きいと色素沈着してニキビ跡として残ったり、炎症が真皮にまで到達すればクレーターになってしまう可能性も。

 

過剰な皮脂分泌の原因は?

多くの方を悩ませる「毛穴」や「ニキビ」の原因は、
元をたどると“皮脂”であることがお分かりいただけたかと思います。
逆に言えば、“皮脂と上手に向き合うことで、肌トラブルを未然に防ぐことができる”
といえるのではないでしょうか?

 

そして、過剰な皮脂分泌の原因は、大きく2つの要因があるといわれています。
外的要因内的要因です。

外的要因…紫外線や環境汚染物質が原因

内的要因…ストレスやホルモンバランス、偏った食生活などが原因

内的要因に関しては、すぐに改善することは難しい方も多いかと思いますが、
外的要因に関しては、日々のケアを意識するだけで改善されるケースが多いです。

 

また、過剰に分泌されてしまった皮脂は、
古い角質が混ざり合うことで毛穴を詰まらせ、炎症の原因となりますので
古い角質やメイク汚れを優しく洗い流すことも、肌の炎症を未然に防ぐ重要なポイントです。

 

スキンケアというと、化粧水や乳液などで肌に成分を『届ける』ことをイメージしがちですが、
クレンジングや洗顔などで古い角質やメイク汚れを『優しく洗い流す』ことも大変重要なスキンケアの1つです。

 

慢性的な肌トラブルでお悩みの方は、今一度クレンジングや洗顔から見直してみてはいかがでしょうか?

 

【取材協力】青山ヒフ科クリニック院長 皮膚科専門医 医学博士 亀山孝一郎

1980年北里大学医学部卒業。
その後、北里大学皮膚科に入局。1986年1月~1989年5月まで、世界最高峰の研究機関である米国立衛生研究所(National Institutes of Health, NIH)にて、メラニンの生成について最新研究に没頭。1999年に、ニキビは感染症であるというそれまでの常識を覆す。“ニキビは感染症ではない、皮脂の過剰分泌を背景とした活性酸素病であり、アクネ菌はその悪化因子である”という趣旨の論文を発表。同年、医療法人社団星美会 青山ヒフ科クリニックを開業。また、ビタミンCの誘導体が天然型の何倍も肌に吸収されることを、世界ではじめて証明した。いまでこそニキビにビタミンCが効くことはあたりまえになったが、“ビタミンCのニキビに対する効果”という論文は当時驚きを持って迎えられた。
2020年5月発売「毛穴道」(講談社)を監修。